『海辺のカフカ』と『物質と記憶』

「やれやれ、こんなすげえの、初めてだよ」、星野さんは浴槽にゆっくりと身を沈めて言った。 「こんなの、まだ手始めなんだから」と女は言った。「これからもっともっとすごいやつがあるんだよ」 「でも気持ちよかったよ」 「どれくらい?」 「過去のことも…

大槻文彦『ことばのうみのおくがき』

仮名づかいや漢字表記、句読点などに手を加えた。原文縦書き。(青空文庫: 大槻文彦 ことばのうみのおくがき) 大槻文彦『ことばのうみのおくがき』 17年を振り返る 先人、かつて文彦らに「王父が戒語なり」とて語られけるは「およそ事業はみだりに興すことあ…

透谷の語彙

大型国語辞典の用例に透谷の文が採用されているものを収集。 重複する語は大辞泉を優先して基本的に省いたが、引用箇所が異なる場合は掲載。 出典の略号 内部生命論→内部 明治文学管見(文学史骨)→管見 厭世詩家と女性→厭女 各人心宮内の秘宮→秘宮 大辞泉 唯…

『漫罵』の語注

参考書籍とその略号 大修館書店『精選現代文改訂版』→「現文」 小学館『日本国語大辞典』→「日国」 小学館『日本国語大辞典 精選版』→「日精」 岩波書店『北村透谷選集』→「選集」 日国および日精の項目に『漫罵』や他の透谷作品からの引用があれば太字でそ…

北村透谷『漫罵』

表記のみを現代的に改めた(仮名遣いや送り仮名など)。 一夕友と共に歩して銀街を過ぎ、木挽町に入らんとす。第二橋あたりに至れば都城の繁熱ようやく薄らぎ、家々の燭影水に落ちて、はじめて詩興生ず。われ橋上に立って友を顧み、共に岸上の建家を品す。ある…

『海辺のカフカ』 クロスリファレンス

『海辺のカフカ』 あなたが世界の縁にいるとき 私は死んだ火口にいて ドアのかげに立っているのは 文字をなくした言葉。 眠るとかげを月が照らし 空から小さな魚が降り 窓の外には心をかためた 兵士たちがいる。 (リフレイン) 海辺の椅子にカフカは座り 世…